会社を一部の役員が私物化していたりして面倒なので代表取締役を辞めたいがそれは可能か?

相談内容
事態が切迫している為、出来ましたら至急のアドバイスを頂けたら幸いなのですが・・・、宜しくご教授下さい。
5年程前より友人3人で副業で某サイトを開いたところ、予想以上の収益を上げた為に低資本で株式会社を作れる米国で起業し、日本支店として商業登記して運営していました。しかし一昨年に国税に入られて以後、各人の想いが微妙にズレだし、いまやその亀裂は如何ともし難い状態です。
 
本業の社則に抵触している関係上、内緒にするには支障が出だした為に、私自身はこの会社から一刻も早く身を引きたいとの想いで最近、一線を画し給与も取らず全て任せきりにしていました。しかし他の2人はこの会社を収入源として暮らして居る為に多額の税金と面倒な手続が煩わしい法人なんて潰して、サイトだけは個人商店として今後も継続、維持するつもりの様で取締役のを辞任したいと言い出しました。
しかも今現在も、会社の収益の一切はちゃっかり全て自分達の懐にはいるようにした上で法人格を利用し尽くした所で、私独りに責任の一切を押し付けて逃げる腹のようです。しかも2人は給与以外に会社に(利益だけでなく会費などの預託金含む)1500萬円程使途不明金残したままでです。
 
この1年私は一切給与も貰っていないのに代表取締役だからと全て押し付けられ無ければならないのでしょうか?どうしたら会社の権利を全部を放棄することができるのか、今後、予想されるであろうトラブルから回避する方法がありましたらお知恵をお貸し頂けませんでしょうか?


回答
あなたの相談内容を整理すると下記の様に整理できるのではないかと思います。
 
1. 国税に多額の追徴課税を受けたがその責任はどうなるのか
 
2. 法人格を残したまま役員の一部が収入を私物化していることはどうなるのか
 
3. 取締役は辞任すれば過去の責任からも逃れられるのか
 
4. その様ななかで法人は解散できるのか
 
とまとめさせていただきました。役員個人間の感情の問題もあるとは思いますが、この相談は当事者の一方の相談になりますのでそこまで踏み込んだ意見は差し控えます。
 
1. 国税の追徴を受けた理由は明らかではありませんが、いかなる理由があっても、国税についての責任は会社全体にあるのは勿論ですが、徴税権は会社役員個人に及ぶことがあります。従って会社を解散したとか、役員を追徴の原因が発生した以後に辞任したからといって責任が逃れられるとはかぎりません。それから追徴課税の原因となった収益の計上もれ、叉は費用の過計上があった場合にその原因(決定過程、教唆など)に他の取締役もかかわっていると判断された場合は連帯責任となります。国税当局は会社から徴収できない場合は、取締役のなかから徴税しやすいところから徴税することもありえます。
 
2. 法人格を残したまま役員の一部が、本来法人の収入になるべきものを私物化していることは明らかに横領にあたります。使途不明金だけでなく、全ての収益についてそれが個人所得となっているのであれば当然会社として取締役個人に返還請求ができます。速やかに法的処置をとるべきです。
 
3. 取締役は任期の途中で辞任することはできますが、辞任したからといって辞任までの間の取締役責任を免れるわけではありません。利益だけでなく会費などの預託金などを私的に流用しているとすれば、速やかに各取締役が会社に返還しない場合は、横領罪または詐欺罪が適用されかねません。そのあたりの重大さを他の取締役にも理解させる必要があります。
 
4. その様ななかで法人は解散できるのかというと解散できません。法人が解散する場合には知れたる債務者、この場合は会費や預託金の支払者たちを含む、の了承なしには法務局は解散を認めません。従ってこのような状況では無理です。
 
あなたはこの企画に参加し、途中で経営と一線を画したということですが、それは代表取締役としての地位のまま、いかに報酬は受けていなくても取締役会議の決定であなたの経営権を棚上げされたという事情でもありませんから、自己の判断でそのようなことをしても経営責任は全く免れることはできません。単なる経営権を一時的に無責任に放棄としかなりません。
 
今の段階であなたができることは、国税当局と交渉して追徴税の納税計画をしめしておいて、当面の差し押さえを回避しておくこと。その間に他の取締役が私的化した法人資産を返還させ、それを原資にして会費や預託金を返還する措置をとること。それがあなたの責任のとる道です。それを怠ると先に述べた、横領罪、詐欺罪があなたも連帯責任として及ぶ恐れがあります。いずれにしても急いで弁護士に相談してください。