手形を貸したところ相手が割り引いて資金化したあと行方不明になったがどうしたらよいか?

相談内容
我が社振出しの手形100万円を相手に貸しましたところ相手が裏書きをして第三者で割り引いて使っていたようです。ところが相手が2回目の不渡りを出し今現在行方不明で打つ手がなく困っております。どうしたらいいでしょうか?
尚、私方も1回目の不渡りを出しましたが、第3者には全額支払い対処しました。


回答
相談内容はいわゆる「融通手形」が不渡りになったことの相談ですね。
 
問題は貴方は「手形を貸した」と書いてありますが、相手からも同額または利子付きの手形を受け取っているのかどうかは別にして、振り出した手形を落とさなければならない責任があります。仮に手形詐欺であったとしてもそれを証明している時間はありませんから、銀行取引停止による倒産を回避するには振り出した手形を落とすしか仕方がありません。
 
なお不渡りになった後で、第三者である手形保持者に全額支払をしても、不渡りという事実は消えませんので、銀行取引停止は免れません。その結果債務弁済の期限の利益を喪失しますので、一括弁済を金融機関は求めてきます。従って通常、倒産となるわけです。
 
当面の解決の方法として、手形の資金が自己資金で手当ができるのであればそれに越したことはありません。
 
また、手形の最終保持者が知れている場合は、そこに頼んで手形の切り替えによる期限の延長が可能かどうか、または借用証書と差替えてくれる可能性があるかどうかも追求してみることも必要です。しかし相手が「街金」とか「高利貸し」であった場合は、かえってややこしいことになりますのでそれはやめるべきです。
 
銀行融資が必要になる場合、銀行に相談する時に、「融通手形」の事実を銀行が知った場合、銀行は拒絶反応を示すと思います。だから、銀行にその事実は知られないようにする必要がありますが、少なくともお互いに日付を前後させて手形を切りあう「融通手形」を切っていた場合は、手形の振出銀行は当座の動きで気がつくはずです。
「融通手形」は手形の「悪用」による私的金融行為と銀行では判断しています。ですから振出銀行以外のところから資金手当をする必要があります。
 
そもそも手形の融通を求めるような方は、そのこと自体が通常の金融取引では資金手当が出来ないことを証明しているようなものですから、貸した手形を割って資金化するのは当然予想できることです。ですから仮に裁判に訴えたとしても、手形を融通した貴方は、そのことを承知で貸したと見なされるのは当然と判断されますから、手形詐欺にも該当しません。
貴方は他人に無担保で資金を貸して踏み倒されたということと同じです。問題は貸した当初は資金が流出しなかったが、踏み倒された段階で資金の流出が必要になったというだけの違いとなります。
「融通手形」をするということはそれだけの危険性を常に背負っていることを承知しておくべきです。
 
表記の相談の内容では回答はこの程度とならざるを得ません。