非常識な辞め方をした社員に過払い賃金があるがどうしたらよいでしょうか?

相談内容
7月に入社した社員が、無断欠勤の後、退職しました。
無断欠勤をする3日前ぐらいに退職の意思表示があったので、会社と話し合いをしている途中でした。強行手段に出たわけです。あまりにも、非常識な辞め方に困惑しています。
本日、会社に一度くるようにとの申し出にも応じません。
彼女は、既婚者で子供がいるので会社としては優遇をしてきたつもりです。今月、健康診断も済ませ、有給休暇(10日分)もしっかり無断欠勤を含めますと消化しています。権利ばかり主張して、義務を怠っている彼女に憤りを感じます。
今月、無断欠勤分5日と病欠2日と弔欠1日について、届けが無いので、給与返金ということで請求できると思うのですが、どのようにしたらよいでしょうか。
あまりにも非常識なので、それに応じるとも思えないのですが。
また、通勤定期代も返金しないようでしたら、どのようにしたらよいでしょうか。
 
弊社では、入社の際に保証人を立てていないので、本人で話しにならないようであれば、ご主人に連絡してもよいものでしょうか。ちなみに、ご主人は警察官との事です。小さな会社なので弁護士契約等してないので相談する事ができません。始めての事に戸惑っています。
それから、本人に渡さなければいけない書類に関して、郵送等の間接的な方法での処理を拒否してもよいものでしょうか。取りに来ないと渡さないという事が許されるのでしょうか。あまりにも、理不尽で個人的にも裏切られた思いです。
無断欠勤分の給与返金についてですが、給料の支払は末締めの20日なので、先払いしています。出勤簿も月末にパソコン入力したものをまとめ確認して承諾印を押しています。証拠不充分で泣き寝入りになるのでしょうか。気分が悪いですね。


回答
ところで有給休暇ですが、改正労働法でも「6ヶ月以上勤務し所定労働日 (通常の勤務日数) の8割以上を出勤したものには10日以上の有給休暇をみとめなければならない」 となっていますが、この方は7月からの勤務ということでまだ6ヶ月以上勤務していないので、特に御社の就業規則で特段の定めをしていない限りは、有給休暇を主張することはできません。
 
また仮に有給休暇の定めがあったとしても「年次有給休暇は従業員が指定した時期に与える。ただし事業の都合によりやむを得ない場合には他の時期に変更することがある。」となっていて、あくまでも基本は本人の事前申告が建前です。
 
通常就業規則を作成されていると思いますが、一般的な就業規則では通常欠勤の手続として「やむを得ない事情の場合を除き始業時刻までに通知しなければならない」となっていることが多いのですが、そうであれば無断欠勤はただの欠勤であり、会社側から特に温情として有給休暇の消化にするという指示をしない限りは無給の休暇となります。
 
出勤簿についてパソコンシステムの関係で事実と違った承認をするシステムとなっているのは問題ですが、そのシステムの構造がそうなっているということが証明されればそれも証拠となります。また出勤の事実があったかなかったかの争いですから、本人が、出勤しどのような勤務をしたのかを具体的にの立証ができるのかの問題ですし、他の勤務者の証言などで就業の事実関係は争えるはずです。
 
給与が支払済みということですが、上記の問題があてはまるのであれば勿論過払い賃金として返還を求めることができます。
 
ただ、争いといっても裁判まで持ち込む必要があるかどうかですが、過払い賃金を支払い済みか、そうでないかで違ってきます。支払済みであれば御社側からアクションを起こさない限り通常争いは起こりません。支払っていないのであれば、御社が当然の行動をとったことに対して相手が争いを起こすかどうかです。支払の事実によって立場は替わります。
 
御社側から争いを起こす場合は相手と話し合いで解決するのがまず原則です (相手側も警察官の奥さんということですから法律に従うのは当然でしょうが・・・・) しかし話し合いでも解決しない場合は過払賃金返還請求の支払督促をかける方法があります。その支払督促に二週間以内に異議の申立てがない場合は強制執行可能な判決を得たのと同様な意味を持ちますので、相手動産などへの過払い分の差し押さえが可能です。ただし相手側が二週間以内に異議申立てをした場合は裁判となります。しかし相手も一般的には弁護士を自弁で頼むことになるでしょうから容易ではないでしょう。過払い賃金が訴訟する程の金額かどうかによっても変わってくるでしょう。また貴方は当事者ですので弁護士を代理人とせずに裁判に臨むこともできます。詳しくは裁判所にお聞きください。
 
ただ、所定の手続のための書類 例えば社会保険書類、源泉徴収票などを人質にとるような行為は不当行為となりますが、当面は取りに来るように要請することはかまわないと思います。ただ「問題が解決しないと渡せない」とまでは言えないということです。