自分が監査役をしている会社が融通手形で支払ができず請求されているがどうすれば?
相談内容
兄が社長をつとめる美容関係の会社がありまして、資金繰りに困り、融通手形で資金繰りしている状況ですが、今年1月に決済されるべき手形が廻り廻ってA商店という会社で現在その手形を持っているとの事です。(未決済の手形です) その事で大分迷惑を被ったらしく、6月現在でも兄の会社に頻繁に、何とかしろ、金を払え等のFAXがA商店から届きます。最近では、「その手形を買ってくれる所があるからそちらの方に廻す」そして内容証明を送る。等のFAXも届いています。
間に入っている友人に言わせると「決済日を過ぎた手形はただの紙切れだから心配ない」といいますが、不安です。法的には無効かも分かりませんが、法律の関係ない世界(ヤクザ)とかにその手形が渡り、大変な状況に陥る事がありえるのでしょうか?弟の私は手形に関しては全く無知ですので、日々不安がつのります。
以上、簡単に書き込みましたが、良きアドバイスをお願い致します。
もう一つお願いします。私は自営でデザイン会社を経営しておりますが、先程の兄の会社の監査役にもなっています。(名前だけですが)もし、兄の会社が倒産しましたら、私も監査役という事で何かの責任が発生するのでしょうか?長年一人で営業してきましたので、社会の常識にうとい所があります。ご解等をよろしくお願い致します。
回答
相談の内容を整理すると
1,融通手形を振り出したが決済日に落とせなかったので相手は銀行に持ち込まずに持っているがその手形は有効か
2.その金額の支払を求めているが進展しないので闇の世界に売るといっているがどうなるか
3.自分はその会社の監査役をしているが影響はあるか
とまとめさせていただきました。
1.について、正規の手形として発行したものであれば、手形の支払日を過ぎたものであっても、不渡りの印がない限り手形としての効力があります。不渡りという支払拒絶証書があれば手形としては効力がありませんが、債務を証する書類としては意味があります。
ところで「手形が廻り廻って」ということですが、それが支払日の期限内であればA商店には何の過失もありませんから、貴方のお兄さんの会社はもちろん、A商店に渡るまでに裏書した会社又は個人にも弁済責任があります。つまり手形としては発行者も裏書人も同様に支払債務があり、支払義務が免除されたわけでは無いということです。
しかも、支払日の期限後にA商店に「廻った」場合であっても「債務者を害する目的をもって、期限後であることを承知で受け取った」という悪意が証明されないかぎり支払義務はあります。
しかし悪意があった場合は、期限後の手形を渡した者(B)とA商店との間の問題となり、貴方はBからの支払請求には応じなければなりませんが、A商店には支払義務はありません。
もし、支払義務がある場合にはA商店と会って、どういう経路でその手形を入手したのかを確認して、その経路が正常なものであれば、その額面金額の無理の無い支払方法について相談した方がよいでしょう。ただしA商店そのものが金融屋である可能性もあります。慎重に対処し、もし怪しければ弁護士に相談するか近所のサラ金相談所のような団体に行くことを勧めます。
2.闇金融などに売ることを臭わせるFAXが届いたということですが、そのFAXは大事に保管していてください。つまり支払期限が過ぎた手形を第三者に売ると表明していて、その結果ある闇金融に手渡ったとしても、先にも述べた様に「債務者を害するために期限後の手形であることを承知で受け取った」悪意ある場合にあたります。しかし裏書日を支払日以前にすることで善意の第三者を装うかもしれませんので、そのFAXが証拠として重要になります。ただしFAXに発信人と発信日が記録されていることが大切です。
しかし、闇金融は法律などお構い無しにきますので、不当にも請求してきた場合は、「そちらには支払義務のない手形である」と突っぱねることが大切です。しつこかったら警察にも相談できますがこれが余り頼りにならないのが現状です。そのような場合になったら出来たらやはり弁護士に相談するかしかるべき団体に相談することをお勧めします。
3.倒産会社の役員をしていた場合に、責任ある役員として会社に係わってきたかどうかの判断基準として、役員報酬を受けていたかどうかという問題と、経営方針の決定過程に実質的に参加していたかどうかが問われます。もし役員報酬を受け取っていたか、経営方針の決定に実質的に参加していたことが判明した場合は裁判にでもなれば役員責任が問われます。しかし法的な手続を経ずにいきなり役員責任を問うことはできません。しかも「名前だけ」ということですから裁判にでもなった場合でも免責の可能性が強いと思います。
しかし闇金融はそんなことお構い無しに貴方にも請求することがあるかも知れませんが、前述の様に「貴方には支払義務のない手形であり、しかも自分は経営にはかかわっていない」と完全に突っぱねてください。
以上です。
しかし融通手形は銀行が一番いやがる方法であり、しかもこのようなトラブルになりやすいものです。貴方のお兄さんの会社の財務内容はきっと大変な状態だと思います。根本的に解決する手段、つまり民事再生か破産かはなんともいえませんが、その方向を模索しなければ今後も同じようなトラブルのタネは尽きないことになります。