「消化仕入れ」について
相談内容
取引に「消化仕入れ」と「売上げ仕入」という言葉がありますがどう違うのでしょうか。仕入をたてる時期や在庫の管理責任、資金繰りへの影響などについて教えてください。
回答
「消化仕入れ」について
「売れた」時にはじめて「仕入れ」となりそれまでは商品の預りとなります。「実際に売った分だけ」つまり「売れた分に対応する仕入」に対してのみ素材メーカーや問屋などに支払をする。これにより製造会社や販売店は、売れない製品の材料や売れない商品を買い込むリスクを免れる。つまり(盗難や不正がない限り)在庫ロスがなくなります。ただし、素材または商品を問屋から預っているのと同じですから、在庫の管理責任は製造会社または販売店にあります。従ってメーカーや問屋別の在庫調査で在庫ロスがあった場合はその金額を負担することになります。また、預り材料または商品の返品についての取り決めを明確にしておかないと在庫ロスにつながりかねません。
「売上げ仕入」も同義語として使われてるようです。強いて違いをいうと、「消化仕入れ」は製造業の生産材などの取引の場合をいい、「売上げ仕入」は販売業の商品の取引の場合をいうようです。
「仕入をたてる時期」について
消化仕入れ方式では、製造納品した時点または売れた時点で仕入が発生することになります。従って消費税の処理も売上げ時点となります。販売業で現すと
伝 票 処 理
商品が入荷した段階
金額 借方科目 貸方科目 金額
1,050,000 商品在庫 ○○商品入荷 預り商品 1,050,000
商品が売れた段階
金額 借方科目 貸方科目 金額
2,100,000 売掛金 ○○商品売上 売 上 2,000,000
仮受消費税 100,000
1,000,000 売上原価 ○○商品仕入処理 商品在庫 1,050,000
50,000 仮払消費税
1,050,000 預り商品 ○○商品買掛処理 買掛金 1,050,000
※ただし、 の部分を省くことで在庫有高を意図的に調整できるという点が問題点として指摘されています。そのことによって在庫管理が不明確になったり、在庫に対する販売責任があいまいになりかねません。従って経理処理上は全ての商品について の部分の処理をすべきだと考えます。
「資金繰りに及ぼす影響」について
通常の買い取の場合は、売れるまでは仕入金額分の資金が塩漬けになります。消化仕入れでは、実態として材料が生産ラインに並び、または商品が店頭に並んでいるにもかかわらず生産し納品されない、または売れない以上は仕入代金を支払わなくてよいのですから、資金繰りの上で、製造会社や販売店には好都合です。仕入代金支払が売上代金の回収時期と近いことで有利です。
以上です。