「代表取締役代行」という役職に法的な権限があるのか?

相談内容
父親が代表取締役をつとめている生コン会社(株式会社)の株主ですが、社員でも取締役でもありません。
定款は取締役の定数を7名以内と明記してあります。今月株主総会が開催されます。取締役の選任の年でもあり、役員会で代表取締役の父と常務取締役の長男の重任と昨年暮れに死亡した取締役の欠員に弟が就任することが内定し総会にかけられます。
次男である私にも取締就任という声がありましたが、親子4人の就任に他の取締役の反対もあり断念しました。他の取締役の方々が交換条件として、高齢で病弱な父親の補佐として、長男である常務が社長になるのは不安なので、取締役でもない私に代表取締役代行に就任してほしいとのことです。
株主総会で決議したいということですが、商法で認められているのでしょうか。また、効力はあるのでしょうか。取締役の補欠というのは聞いたことはありますが、上記のようなことも、また、取締役でも聞いたことはありません。よろしくお願い致します。


回答
相談の内容をまとめさせていただくと
取締役でない「代表取締役代行」という役職に法的な権限があるのか
ということに尽きるようです。
 
もちろん取締役や監査役でないものは登記されませんし、対外的に会社を代表した自己の権限を主張できません。商法的な代表権はお父さんにあります。
 
しかし、代表取締役と貴方との間で代理人契約があれば、お父さん個人の代理として、実質上の代表取締役の仕事をすることは可能でしょう。つまり株主総会や取締役会の決定の範囲で代表取締役が仕事すべきところを、貴方が代理して職務を行うということです。ただしあくまでも商法上の責任は代表取締役であるお父さんにあることは間違いありません。したがって何かトラブルがあって代表取締役の責任が生じた場合は、代表取締役であるお父さんに責任が発生することは勿論ですが、代理人である貴方にも事案によっては連帯して責任が発生することがあります。
 
つまり、株主総会で決議したからといって貴方に代表権が生じるわけではありませんが、民法上の代理契約を株主総会で認知されたと考えればよいと思います。株主総会に合わせて、お父さんと貴方の間で「代表取締役の職務執行における包括代理契約」を結んでおくことをすすめます。株主総会で認知されるのですから、日常的には堂々と社長代行としての職務をおこなえばよいでしょう。
 
ただし、株主総会や取締役会での取締役又は代表取締役としての代理はできません。代表者の日常の職務を代理しておこなう程度となります。