過払いで振り出した手形を回収できないか?

相談内容
下請業者に85%の請負いの約束で、H社に前金として支払手形を振出したが、工事が終わり、すべての請求書が揃ってみたら、約束の85%を200万以上超えていた。手形の変換をもとめても、あやしいところですでに割っており、ましてや現金で返金など到底してもらえません。H社に振出した手形だけ期日に落ちないようにすることはできないのでしょうか。
 
信用出来ない業者に対して前金を払うと決めたのは社長の一存なのですが、もしH社から過払い分を回収できなかった場合、社長に責任をとらせることはできるのでしょうか。社長に対して損害賠償請求はできますか。


回答
貴方の説明では御社とH社との関係がよく理解できません。手形を振り出したということH社は御社の下請会社の様ですから、工事の結果、請求書が予定の85%より200万円大きかったとしても追加支払が発生するだけで問題がないように思いますが・・・。なぜ払い過ぎになるのかが理解できません。
 
なお、手形は払出した以上は、手形が詐欺や窃盗で相手方に渡ったのではないかぎり、現状の手形保有者の協力無しに支払を止めることはできません。それが出来るようだと手形の意味がなくなってしまいます。従って、手形を期日までに落とし、過払い分をH社に請求することになります。
 
社長の責任の問題ですが、先ず貴方が会社の中でのどのような位置にあるのか、つまり役員であるとか株主であるとかについて不明ですので、一般論で説明します。
余程、H社が不良会社であることが明らかに周知の事実であって、役員会でも反対の意見があったにもかかわらず、社長が独走して会社に損害を与えたという事実関係が明確でない限り、単なる営業上の判断ミスという程度となり、そのことを理由に損害賠償の請求までは困難でしょう。また、仮に損害賠償を請求できる程事実関係が明確となったとしても、請求できるのは、原則として取締役、監査役、株主に限られます。
しかし、損害賠償とまではならなくても、役員会で社長の責任を明らかにして、回収不能分を社長個人の資金から返済させるとか、月々の役員報酬から返還させる、という決定をして回収することは可能でしょう。問題は社長も含めて、取締役会又は株主総会で決められるような環境かどうかです。
 
以上の説明で不明の点があればご連絡ください。