出資を引き受けたが創業者が勝手なことをしている

相談内容
昭和57年設立の事実上休眠会社の創業者から事業継承の相談を請け、商号変更、取締役の変更をし、2005年6月に引き受けました。私は300万円を出資し、株式を保有。私の株式の占有比率は23%、残りは創業者が所有しています。私が代表取締役に就任しましたが、現在売上はゼロ。創業者(60代)がオーナーとして社内に常勤していますが、会社実印、銀行口座、業務窓口など一切を握っており、私が出資したほとんどを使い込んでしまっている状態です。
 
経営再建案を創業者と繰り返し話し合っていますが、埒が開かず早々に代表取締役を辞任したい考えです。現在、オフィス賃料の滞納、サーバ管理費などの滞納などがありますが、それらはすべて創業者が独断で決めた契約です。
また、運転資金が枯渇しているため、創業者は自分側の弁護士と税理士に相談し、匿名投資組合などからの資金調達を独断で進めているようです。
このような状況で、代表取締役の辞任が可能かご相談させていただきたく存じます。


回答
まず、一番に思うのは「詐欺」ではないのかという疑いです。あなたに300万円を出資させて、「オーナー」が自らの借金の穴埋めに使ったとも考えられますし、今後も「会社」を利用して金融機関から借金を引き出して、「オーナー」の他の負債整理に利用するのかも知れません。
 
そもそも、事業計画も事業の実行もない株式会社など、何の意味もありません。
 
あなたは代表取締役ということですから、会社の代表印(会社実印)や会社の名で開設している銀行印、の使用する場合を決定する権利がある一方、会社のために不当に使われないための管理責任があります。それを「オーナー」なる人物になぜ「握られて」いるのか、さっぱり分かりません。すぐにでも貴方の手に取り戻して正常にすべきです。
 
いずれにしても、貴方が代表取締役となっている「会社」の名でつくった負債に対する弁済責任は最終的には当然貴方個人にも及びます。なぜなら貴方の実際の意思とは関係なく代表印が使用されたとしても、代表印の使用によって貴方の「意思」が会社の意思となっているからです。
 
今の段階で代表取締役を辞任したとしても、次の代表取締役が選任されて登記されるまでは、貴方を代表取締役であると誤認して貸付などを行った善意の第三者の弁済要求から免れることはできません。速やかにすべきことは代表印(会社実印)や銀行印は貴方の手の中にあるべきものですから、速やかに返還させることです。これ以上は、貴方の意思によらない印鑑の使用を阻止することです。
 
その上で、「オーナー」が契約などを「独断で決めた」経緯や会社財産の使用状況を正確に押さえておいて、この「オーナー」に対する訴訟の準備も進めておく必要があると思います。それは貴方が第三者から弁済請求をうけた場合にそなえて、「オーナー」による「横領罪」または「詐欺罪」で「オーナー」への求償権を確保するためです。
 
現状で、中途半端に代表取締役や取締役を辞任することよりも、貴方が代表者としてとるべきことを優先して措置すべきであると思います。今後のためにも印鑑の返還に応じない場合や勝手な契約を結ぼうとしている場合などがあった場合は、内容証明によって貴方の反対の意思をつたえるなどの措置をとってください。
 
いずれにしても大変正常でない状態だと思います。