役員を既に辞任しているのに会社が変更登記をしない

相談内容

私が代表取締役だった会社を、1年前に株主(現オーナー)との経営方針の違いから辞めました。
半年前、役員登記の変更手続きがなされていなかったため、 オーナーにメールで確認し「手続き中」との回答得ましたが、未だに変更されていません。
1年前に遡っての変更手続きの要請を「内容証明」で郵送するつもりでおりますが、
この間に債務等発生した場合、私に責務はあるのでしょうか。
また、内容証明以外どのような手続きをとったらよいかご指導お願いいたします。


回答

貴方の相談内容を整理すると
 
① 一年前に代表取締役を辞任の意思表示をしているが、この間の役員としての責任関係はどうなるのか
② 役員の変更登記をさせるために何かよい方法はないか

となりました。
 
① まずその会社が株式会社であるのか、有限会社 (5月1日以降は特例有限会社となります) であるのかによって考え方が異なります。
 
イ.株式会社であった場合は、旧商法の縛りで取締役の任期は二年となっていましたから、前に就任した時から二年経過した決算にかかわる株主総会 (もし株主総会が開かれてなくても定款上開かれるべき時) で任期切れと なります。その後、貴方が出席しない株主総会や取締役会で貴方を取締役や代表取締役に就任させる手続きを、貴方の意思なしにしていたとすれば、現オーナーは有印文書偽造で訴えることができます。
 
ロ.有限会社であった場合は、取締役も代表取締役も任期の定めがありませんから、辞任の登記をしない限り代表取締役の任にあることになります。
 
ハ.従って、貴方がまだ代表取締役として任期中の場合で辞任の登記がなされていない場合は、その会社が行った債務行為につて、善意の第三者 (貴方が代表取締役としての名前と代表印が使用され、それを信用して契約などをした相手側) に対して責任が発生することがあります。
従ってその状態から出来るだけ速やかに脱することが望まれます。
 
② 貴方の辞任の意思は会社に対しては「内容証明」で通知すればよいでしょう。
その場合「私は会社の誰々に対して、何年何月何日に代表取締役及び取締役の辞任の意思を示しているにもかかわらず、何ら登記手続きがなされていない。これは法務局に訴えれば登記内容を変更すべき事実が発生していたのにもかかわらず登記を怠った場合 (会社法第九百七十六条第一号) に該当して『百万円以下の過料』に処されます。すみやかに善処しない場合は法務局に直訴します。」との内容を書き込んでおくとよいでしょう。
それから、「もし善処しない場合は、会社と取引関係にある金融機関や業者に直接、『自分は既に代表取締役と取締役を辞任している。しかし会社が無責任に放置している。』とする文書を送ります。そのことは会社にとっても困ることになりますよ」 と少し脅してみられたらどうでしょうか。
 
それでも会社が善処しない場合は、現に法務局に出向くことも、取引先に通知を出すことも当然すべきとになります。
 
以上です