会社役員で退職した場合、競業避止規定との関係はどうなるか?
相談内容
こんにちは。現在勤務中の会社を3~4ヶ月後くらいに役員辞任ということで考えております。
理由はトップと経営方針等が合わずです。退職後同業の会社を設立しようと考えております。何人かの部下も考えており逆に勧誘されております。また役員規定には競業避止義務については何の文言も記載なし就業規則には半径10キロ以内での同業への転職は禁止の旨は明記あります。
会社設立に伴って現会社内は混乱する可能性はありますがワンマン経営に嫌気をさしているものが多数います。仕方ないかと思いますが・・・。会社設立を私が行い問題ありますか?形式上妻を発起人又代表にする事は防衛策になるますか?
回答ください。よろしくお願いします。
回答
まず、競業避止義務については、役員規定に明記されていないとしても、会社法に規定されており、取締役・執行役に義務は発生します。ただし、退職後については、原則その義務を免れるとされています。その根拠は憲法22条の「職業選択の自由」にあるようです。
しかし、退職後の競業避止義務を明示した契約がある場合は、それに従う必要があります。 本件の場合は、就業規則に「半径10キロ以内での同業への転職は禁止」とありますが、 あなたは、役員ですので、就業規則に縛られることはありません。 したがって、あなた自身が会社を設立することについては、問題はありません。
ただし、あなたの部下については、役員でない限り、就業規則の規定に縛られますので、「半径10キロ・・・」に従う必要があります。
もっとも、その退職後の制約があまりにも広範である場合には、やはり「職業選択の自由」を侵害するものとして、規則自体が無効とされる可能性があります。本件は、地理的条件の制約しか記載されておらず、期限などが記されていないので、相当な期間を空ければよいと判断するのか、期限がないので無効と判断するのかは争いがあると思います。
もし、部下の方々も一緒にということであれば、半径10キロ離れた場所に事務所を構えて創業するのが一番問題のない方法だと思います。 もし、条件的に難しいのであれば争いを覚悟するべきでしょう。
また、競業避止義務とは別に、退職前の会社の秘密を利用して、その会社に損害を与えた場合は不正競争防止法によって損害賠償請求される可能性もありますので、注意が必要です。
以上です