家族経営の会社に貸し付けた資金の返済を求めたいが?

相談内容

夫の父が亡くなり、夫が社長に就任。義母は引き続き経理を担当しながら役員をしていた。
経営が傾いていたので、一時的にと思い、私(社員)は900万ほど貸した。契約書は交わしていない。今も貸付金として帳簿に残っているが、銀行への返済を優先し、会社としては返せない状況と説明を受ける。

 

義母は数年前に退任しているが、当時の会社役員として義母にも個人的な返済義務を追求できないでしょうか。年金暮らしではあるものの旅行やお習いごとをしているので、少しずつでも返せるのでは、と思う。返済要求はまだしていないが、ぜひしたいところです。
銀行への借入金がある状況で、社長の妻である私に返済を開始すると、銀行からの評価が下りますか。会社として不利ですか。社長はそう説明する。


回答

貴方の相談内容をまとめてみると
① 家族従業員であるものが会社に貸した金銭を当時役員だった者(義母)から返してもらえることができるか

② 銀行への負債があるなかで、会社から家族従業員への返済について金融機関がどう評価するか

ということになります。

① 家族従業員であるものが会社に貸した金銭を当時役員だった者(義母)から返してもらえることができるか

一般的には、貴方は会社に対して貸付をしたので、役員がその資金を背任的に使い込んだのでなければ、当時の役員に個人的に返済を求めるのは無理があります。もちろん道義的な問題として話し合いをすることは出来るでしょうが、義母に返済を強制はできません。

② 銀行への負債があるなかで、会社から家族従業員への返済について金融機関がどう評価するか

銀行への負債があるなかで、役員でない家族従業員に返済することについて、

1.銀行への約定返済をしている中であって、経営遂行に大きな影響を及ぼさない範囲であれば問題はありません。

 

2.しかし、銀行への返済条件を緩和(いわゆるリスケジュール)をしている中で、家族従業員への返済を優先している場合は、銀行は不信感を持つでしょうし、今後のリスケジュールの条件について厳しく対応することが予想されます。

 

3.銀行への返済条件を壊すような範囲でない金額の返済で、経営維持においても影響がないような金額であれば、銀行も見逃すかも知れないという程度しか述べられません。あくまでも銀行と御社との関係の中で考えざるを得ません。結局は、銀行の視点では、貴方と社長のサイフは同じで、会社のサイフも同じだと考えるてしまうのです。

 

貴方にとっては承服しかねるかも知れませんがこれも現実です。将来気持ちよく返済してもらうために、会社の売上拡大や利益増加のために貴方も協力する方向で話し合ってみてください。貴方が社長以上に智恵をだす機会でもあります。

以上です。